美山の雄滝
水源の里 市茅野のシャガ
美山の雄滝
表紙の写真はホクドルンという場所に著者が確認した洞穴、そのなかから川を見たところだ。
ホクドルンの洞穴は著者にとって「特別な場所」となった。
ツアンポー川のなかで、探検されてこなかった空白の五マイルのなかにホクドルンはある。
空白の五マイルへの著者の探究が、かつてツアンポーにカヌーで挑戦した2人の若者の人生と交錯する。
ホクドルンの洞穴では、下降に使ったロープが伸びきり、手を離すと、手の届かない上のほうにまで戻って行ってしまった。
文字通り「絶体絶命」だったのだが、別のルートを見つけて洞穴の上に戻ることができた。
このようによく助かって戻ってきたなという場面がある。最後もそうだ。
村はすぐ近くにあるのに、川を渡る橋がない。泳いで渡ることもできない。
何とか、リューソー(ワイヤーブリッジ)を見つけ、疲れ切った体でワイヤーにぶら下がって川を渡り、生還した。
プロローグの一文が良い。
「旅の準備というものは、どうしていつもぎりぎりまでかかってしまうのだろう」。
未知の世界へと向かう旅への期待と焦燥、危険への恐怖と、その見返りに得られるかもしれない達成の予感。すべてが凝縮されている。最高の書き出しだ。