Exploring the Universe of 'Satoyama' - Interactive Ecosystem of Nature and Human

京都里山讃歌

KYOTO SATOYAMA SYMPHONY

水源の里 市茅野のシャガ

芦生[05]晩秋の下谷

2017年11月

 

 

 

 

 

 

 

晩秋の下谷

ケヤキ坂の峠には淡雪が散り敷いていた。

冷たい風が峠の鞍部を吹き抜けていった。

(ケヤキ坂の淡雪)

(ユズリハの実……ケヤキ坂にて)

幅広く穏やかな下谷の源流部にも淡雪が積もり、そのなかを清流が静かな音を立てて流れていた。

(下谷の源流部)

(雪圧)

(ノリウツギ)

(「ノリコの滝」近くにある無名の滝)

(「ノリコの滝」最下部)

京大生が恋人の名をつけたというノリコの滝。

樹々に緑の葉のある時期、ノリコの滝は見えにくい。

晩秋、葉が紅葉し或いは落ち、ノリコの滝が樹々の間から垣間見えるようになる。

中ノツボの源流部と同様、下谷の源流部は緩やかであるが、下谷の下流部から下刻が徐々に迫り、ノリコの滝の所で段差を形成している。

浸食され残した準平原状の緩やかな地形に、下流からの下刻が迫る地点に形成されているという意味で、中ノツボの滝群と、ノリコの滝は、パラレルな現象ではないだろうか。

ノリコの滝の周辺の谷に小滝が形成されているのも同じ文脈で理解できる。

(時にニホンカモシカの姿も見られるという急崖)

(晩秋の下谷)

(晩秋の下谷)

(晩秋の下谷)

冬の陽は時折、雲に隠されて薄寒く翳りながらも、また波のようにさっと照り返して、樹々を鮮やかに彩るのだった。

(晩秋の下谷)

(晩秋の下谷)

(サワフタギ)

(「トチノキ平」のトチ)

(この丸い丘陵の成因は??)

(アシウスギの葉は柔らかい)

(雪圧)

(「宮の森」の杉)

(「宮の森」の杉)

(熊の爪痕?)

(イワナ?……下谷の大カツラ付近)

(ナメコ……下谷の大カツラ付近)

(ツルウメモドキの実)

(アシウアザミ)

(白い頁岩と黒い頁岩)

(下谷[手前から]と上谷[左から]の合流点)

(2017年10月の台風21号で倒れたアシウスギ)

群青色の天空に離合する雲の流れに従って、晴れたり翳ったりする晩秋の日だった。

下谷を歩いているあいだ、風は強くなかったが、上谷・下谷合流点を経て長治谷小屋に辿りつく頃には、北風の塊が吹き抜けるようになった。

そして秋晴れのあとの意表を衝くかのごとく、細かなみぞれ雪が紙吹雪のように空から舞い降りてきた。

深い雪に覆われる、白い冬の季節が芦生の森にまもなく確かに訪れることを予感させるのだった。

 

■山に生き山に死したる杣人を 幾人 いくたり 知るや岸辺の桂
■丈高き雪に埋もれて如何に棲みし木地屋の煙消えて久しき
■人知れぬ峰のもみじ葉 滝に落ちて山より里に冬は迫りぬ