水源の里 市茅野のシャガ
綾部市老富町と福井県おおい町川上の間における河川争奪による「さかさま谷」の形成の可能性についての仮説です。
綾部市老富町と福井県おおい町川上の境界では、福井県側からの下刻が進み、傾向としては福井県側からの浸食が急であると感じられます。
福井県側にさかさま谷という小さな谷があって方向としてはいったん西に流れたあと、東向きの谷に合流しています。大胆な想像ですが、さかさま谷は昔の上林川の源流部であってその当時はいわゆるさかさまでなく順当に西に流れていたのではないか、福井県側からの下刻が進み、源流部が争奪されたので、さかさま谷として残ったという考え方です。
地形断面からは、今の上林川源流部の勾配を延長した先にさかさま谷があるとしても矛盾はないのではないでしょうか。
河床礫の現地確認など詳細な検討は必要ですが、もしこの仮説が正しければさかさま谷の北西にある一連の谷も上林川流域であったでしょう。
さかさま谷(写真中央から左下へ)
「さかさま谷」の直近の急崖
「さかさま谷」(写真右)は合流点では滝になっていて浸食力の強い下刻の進行をうかがわせる
さかさま谷 - Spherical Image - RICOH THETA
「さかさま谷」合流点(滝の下)付近の地質
いまの分水界と重なる京都府・福井県境の永谷坂峠(手前が綾部市・奥がおおい町)
永谷坂 - Spherical Image - RICOH THETA
【関連して、こんな本も参照してみましょう】
※さかさま谷に言及されているわけではありませんが、考え方の参考として。
堀淳一『誰でも行ける意外な水源・不思議な分水―ドラマを秘めた川たち』東京書籍1996