芦生研究林・下谷の露頭(美山町)
水源の里 市茅野のシャガ
芦生研究林・下谷の露頭(美山町)
本書の基盤となるScienceの論文が新聞で報じられた時のことは覚えている。小惑星衝突が恐竜絶滅を引き起こしたことを多数の科学者が論文を精査してまとめあげたという内容だった。
http://www.asahi.com/eco/forum2010/earth360/TKY201004090236.html
本書により、その論文が出された背景、論文の主な内容がよくわかる。
色々な証拠をもっともよく説明できる小惑星衝突説を、受入れない人も意外といるらしい。地球科学は激変説とたたかいながら斉一説をかちとっていった歴史があるため、天変地異による説明を受入れにくい文脈も依然としてあるのだろうか。
さて、小惑星衝突による恐竜絶滅を問題提起したアルバレスらの論文はScienceの1980年6月6日号。一方その2週間前、J. Smit & J. HertogenはNatureの1980年5月22日号に、K-T境界における地球外からのイベントというタイトルで、浮遊性有孔虫の急な絶滅と、イリジウムやオスミウムの濃集が一致することから、K-T境界の時期に直径5~15kmの惑星が地球に衝突したというアイデアを示してはいた(平野弘道『絶滅古生物学』岩波書店2006年、162頁)。
https://www.nature.com/articles/285198a0
このJ.スミットが、後藤本書の4頁や30頁などに出てくるスミットなのだろう。
後藤本書の刊行後であるが2016年に熊本大学の尾上哲治らは、約2億1500万年前に直径3.3~7.8 kmの隕石が地球に衝突し、海洋生物の大量絶滅をもたらしたことを発表した。
https://www.nature.com/articles/srep29609
http://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2016-file/release160708.pdf