京は遠ても十八里 ~ 海と都をつなぐ峠を辿り直す

『北山の峠』再訪

'PASSESS IN KITAYAMA' REVISITED

美山・唐戸越のユリ道(仮称)

大栗峠 Ooguri-touge

Ooguri-touge Pass


 

 

 

 

 

 

大栗峠

大栗峠

大栗峠 概観
Ooguri-touge Pass

巡礼の道としての大栗峠
Ooguri-touge Pass for the Pilgrimage

落武者の道としての大栗峠
The Fleeing Soldiers on the Ooguri-touge Pass

「おぐに峠にて西ノ方を見やりて」
Local Haiku Poets on the Ooguri-touge Pass

金久昌業『北山の峠』(下)より「この弓削側の尾根道の特長は、道が堂々と立派なことである。整備された立派さではなく、踏み込まれた高い格調と歴史の貫禄である。放置されてから久しいのにそんなに生え込みもせず、道形も殆ど崩れてはいない。中間の突起を越す部分などには道巾が狭くなったりするところもあるが、その他は概ね車馬が行き来したと思われるような大きく掘れ込んだ道が尾根を曲折して貫いている。この道は樹木の美よりも道そのものによさがある道である。道の精髄というのだろうか。北山では根来坂や近江坂などにその類を見るが、この道はそれ以上の圧巻を示す。根来坂や近江坂などの掘れ込みは背丈の一・五倍くらいだが、この道は所によってはその三倍くらい掘れ込んでいる。文献がなくても口伝がなくても、如何にこの道が古くから重要な道だったかを否や応なく思い知らされる道である。文献や口伝には誤りがあるかもしれない。しかしこの道の深く掘れ込んだ風格ある重さには誤りようがない。これ程確かな実態が他にあるだろうか。こんな道を歩くと、少々生え込んではいてもお膳立てされ整備された道を歩くよりも心が締まるような感嘆を覚えるのである。」(p.82-83)