京見坂の思い出
もう二十年以上も昔になるが、若き一日、自転車で京見坂を越えたことがある。
まず鴨川を遡り、雲ヶ畑に向かった。
持越峠を越え、杉坂から氷室へ。
氷室から京見坂へ向かう途中の城山を巻く急坂が、疲れた身にはこたえた。
脇に小さな池のある京見坂を越えて、あとは下り一本。
この雲ヶ畑からの周遊の件とは別の日、逆に鷹峯から車道をひたすら自転車で登り京見坂に至ったこともあったと思う。
今はそうした体力も無いかもしれない。
ちなみに相国寺の禅僧・彦龍周興が1483年(文明15年)に天橋立に行った時の記録「西遊藁」に「杉坂」が出てくる。
「文卯三月初四日、……去洛里許、有一山村、雑花夾路、問其名則曰杉坂也、予笑曰、無杉一株、而花如此、名実相反、世之常也、是日入丹波……」
京都から杉坂を経て丹波に行っているので、杉坂に行くには京見坂を通っただろうと考えたい。
金久昌業『北山の峠』(中)より(加筆予定)